sweet dreams vol.4

妄想と現実のぶつかり稽古を見学する音楽読本sweet dreams(スウィート・ドリームス)第4号が先日から店頭に出ている。今回の4号は前号から更に100ページ増量して計296ページ。厚みが2センチほど、手を離してもテーブルの上で立つ部厚い本です。特集は「トラベル・イン・マインド〜ツアーをめぐる音楽の冒険」。つまり音楽にまつわる旅です。豊富なインタビューからエッセイやコミックなど様々なアプローチで構成されており、とても一人で編集しているとは思えない凄い本です。早く紹介しなきゃと思いつつ遅れてしまうのはいつものこと。困ったものです(苦笑)。遅れた分ちゃんと紹介しようと、このsweet dreamsの編集発行を一人で全てやっている福田教雄さんに直接話を聞いてみました。

福田さんはsweet dreamsを始める以前、最初はリットーミュージックの雑誌編集部にいたそうです。ところが担当していた雑誌が休刊になり編集部のスタッフは全員解雇になったのです。その仲間で、アフターアワーズをつくり、創刊から5号まで参加したそうです。やがて違うことがしたくなり、マップを仲間と二人組で始める。しかし、ツアーやったり、CDやったりで本が段々作れなくなって3号止まりになってしまい、「本を作る為のアウトプットとしてsweetdreamsをを作った」そうです。

福田さんはそのsweet dreamsでは、あまり取りあげられることの無い人でも創っている人の背景がある人に興味をもって取りあげているそうです。福田さんは自分はいわゆる音楽マニアとは違い、実はそんなに詳しくないのですと言います。逆に興味を持ったアーティストのことを、取材を通して相手を知るという、その過程を読者と共有出来たらいいなと思っているそうです。知る愉しみと言ったものなのかなと、話を聞いて僕は思いました。僕自身、カルトな音楽ファンではなく、自分の好きなものだけは深く知りたいけど、全体はよく知らないという人なので、この雑誌のアプローチをいつも面白く思っていた訳が、その話から分かったような気がしました。

sweet dreamsのインタビューは、一般の音楽雑誌の様に新曲の話を必ずするというような定番の質問がほとんど無く、音楽の人が音楽以外のことで普段どう思って過ごしているのだろうといったことが浮かび上がるような話になっていて、意外性のある面白い話が出てきたりするので愉しいのです。

しかしこの分厚い本を一人で全てやっているのは、随分大変だろうなと思い、そのことを聞いたら、特集は随分前に固まっていたけど、日々の忙しさ(福田さんは本だけやっている訳でないのです。ツアーからCD,はたまた展覧会のプロデュースなどなど大忙しです)と、一人でやっていることもあって、完成まで1年がかりになってしまい、そうなると鮮度が気になるので、新たなネタをまた入れていくので、どんどん分厚くなったそうです。4号では、ロレイン・プラード×小田島等の対談が今年の夏に仕入れた新鮮ネタです。ロレイン・プラードさんは、ニューヨークで、東京のBGMについて研究している文化人類学者。この対談では、小田島さんの作品を起点にスーパーマーケットの音楽についての話が展開されていて、実に面白い。福田さんが一人で作っているが故の遅れも、その新たなネタがまた面白いものなので、読む方には大歓迎の遅れです。まあ僕の方の本の紹介の遅れには、そういいことがないのが残念なところです(苦笑)。  (文:悦)





book data:
title: sweet dreams vol.4 
publisher: sweet dreams
author: sweet dreams編集部
price:  1260(税込)