title: 沢渡朔写真集「Nadia in Sicily 1971」サイン本★

　今回もロングセラーの中から個人的にも大好きな沢渡朔さんの写真集を取りあげたいと思います。
2004年に蒼穹舎から太田通貴さんの編集と原耕一さんのデザインで素晴らしい写真集として刊行された「Nadia in Sicily 1971」は、沢渡さんの代表作のひとつとして有名な写真集「NADIA 森の人形館」(1973)で未収録だったNadiaの別シリーズです。
沢渡さんが活動を始められたのは、1960年代半ばからだそうで、最初から第一線で活躍されてましたが、1973年の「NADIA 森の人形館」と「少女アリス」の二つの写真展と写真集で衝撃的な成功を得たのは、日本写真史の大きな足跡となっています。その後も、作家的企画の写真でも、数多のグラビアなどの商業ワークでも常に変わらぬ視線の在り方で、すべて同じに高いクオリティ、テイストで写し出してしまう不思議な圧倒的力がある世界は時代の流れとは関係なく魅力を保ち続けているのは不思議な感動を覚えます。
特に女性を題材にした作品の独特の薫りを持つ世界は定評があり有名ですが、この写真集の様に雑誌では発表されて衝撃を与えたものでも、写真集になっていないものは数多くあります。蒼穹舎からはそうした写真集が度々刊行されています。蒼穹舎の大田さんは写真をずっと見続けている人だけにこうした本にされていない名作をまとめる仕事も多く、それらは、いずれも写真史の穴を埋めて行く重要な仕事になっています。
太田さんの仕事は、作家との長い付き合いから生まれる作家の新しい世界の展開や、新しい作家の発掘と言えるものとともに、こうした"本にされていない傑作写真をまとめる仕事"も大田さんの本作りの一つの柱だと感じています。僕は太田さんの仕事をいつも愉しみに注目しています。　(文：悦)

book data:
title: >沢渡朔写真集「Nadia in Sicily 1971」サイン本★
publisher: 蒼穹舎
author: 沢渡朔　
price: 3990(税込)