『子供の科学』で大人になった


この本では、1923年から創刊された『子供の科学』に掲載されていた工作が、当時は読者で工作に夢中になった、現役の「工作少年」たちの手によって再現された作品や、その作り方の解説・工作をしてのひとことなどが収録されています。
子供の科学』とは科学の最先端の研究成果から身近な現象まで、子供たちの興味を引く記事で物事の原理や原則を解説し、小中学生を中心とする未来を担う世代に科学の入り口を提供してきた雑誌です。

なかでも、日本の経済成長期にあたる1950年代から60年代前半にかけてはユニークな工作が多く登場しました。
この本では、その時期に掲載された工作が多く、模型電気洗濯機や模型ミキサーなどが再現されています。

どの工作もレトロで単純な装置にみえますが、再現された方々の設計図や解説を読んでみると複雑で緻密な作業だと分かり、当時の少年はこんな難しい工作遊びをしていていたのかと驚かされると同時に、彼らの頭と手を鍛えたこの雑誌にとても魅力を感じました。
自分で作り、遊ぶ楽しさを想像してみるとワクワクし、自分も何か作りたい、そんな気持ちにさせてくれる本です。
気になった方は是非手にとって見てください。  (文:篠)


book data:
title: 『子供の科学』で大人になった
publisher: INAX出版
author: 柏木文吾、小森長生
price: 1575(税込)