プロジェット10周年とトヨダヒトシさん

ふと気付くと早いもので、プロジェットも10年目に入りました。1999年8月27日にオープンですから、2世紀にまたがる長い時間を過ごしてきた訳です。その間には色々なクリエイターの人と知り合う事が出来たのがとてもうれしくかつ刺激的な事です。そんな事を思っていたら、ニューヨークに在住している写真家のトヨダヒトシさんが、久しぶりに日本でスライドショウを上映するらしく、横須賀美術館からチラシが届いてました。トヨダヒトシさんといえば、2001年と2002年にはプロジェットで、スライドショウを上映していただいてからの付き合いですが、その後も2〜3年ごとの帰国の度に、プロジェットのスタッフの忘年会に飛び入り参加してもらったり、僕の雑誌の連載コラム(DTP WORLD誌 2007年9月号「プロジェット好奇心訪問記」)に登場してもらったりと、お互いに住んでいる所は遠くても気持ち的には近い存在です。


トヨダさんは、写真家の表現者としての在り方は特異なもので、作品をプリントでは一切発表せず、スライドショウという形式でのみ作品を公開するのです。映像日記という内容のそのスライドショウのスタイルは、音楽を一切流さない無音の中、すべてトヨダさん自身が手動でスライドを送っていくという個性的なもので、映像の流れが生み出す世界がライブ感覚をもって、見るものに染み込んできます。そこは、見ている自分と写真の間に生まれる世界が面白いと感じる不思議な場になっています。


これまでも、世田谷美術館東京都現代美術館などや、プロジェットのような店舗、タカイシイギャラリーやプォトグラファーズギャラリーなどのギャラリー、あるいは廃校となった小学校の校庭など様々な所でスライドショウを開催しています。


今回の横須賀美術館の海に面した広い庭もスクリーンの向こうに海が見え、波音がかすかに響く場所で、きっと不思議な興奮を引き起こす一度きりの体験が出来るのではないかと期待しています。
横須賀美術館のtoyoda hitoshi Visual Diary / Slide Showは、プロジェットとは直接関係のないイベントで、いつもするようなお店と直接関係する商品やイベントの話ではありませんが、こうしたクリエイターさんとのおつきあいからうまれる不定形のものもこのプロジェットというお店だと感じ、10周年の感慨を込めて紹介しました。 (文:悦)


toyoda hitoshi Visual Diary / Slide Show
日付/場所
2009年9月11日(金)・12日(土)・13日(日)18:00開場 18:30開演
横須賀美術館 海の広場
上映作品
11日(金)NAZUNA(2005/90分/サイレント)
12日(土)spoonful river(2007/80分/サイレント)
13日(日)An Elephant's Tail(1999/40分/サイレント)+アーティストトーク
料金無料
お問い合わせ先:横須賀美術館(電話046-845-1212)