nu vol3 / nu編集部

インタビューや対談で構成する新しい雑誌として、不定期に2年ぐらいに1号ずつ刊行され、現在3号まで出ているnu。nuは、HEADZの佐々木敦編集による個性派音楽雑誌「エクス・ポ」での、本体を表紙&目次を兼ねた専用エンベロープに封入して販売するという、コンセプト、コンテンツ、アート・ディレクションが三位一体となったデザインを手掛けた、戸塚泰雄さんがみずから編集からデザインまで全て手掛けている雑誌です。

3号では『菊地成孔宇川直宏』の超ロング対談をはじめ、『三田格大谷能生』『細馬宏通八谷和彦』といった異色の組み合わせの対談や根本敬茂木健一郎平岡正明、田中元樹他による幅広いスタンスのコラム群からなるボリューム満点の336ページになっています。

このあまりにも個性的な面白い雑誌はどうして生まれたのか知りたくて、先日、仕事場の移転の連絡を受けた際に雑談まじりに聞いた話では、最初、戸塚さんがデザインの仕事をしたくて編集者を辞めた頃、時間もあるしデザインと編集の両面を活かせるということもあって、雑誌をつくろうと思い立ったらしいです。それで、自分の興味のある音楽に、雑誌の方向が自然と流れていった様です。


たとえば、宇川直宏さんと菊地成孔さんが話したらどうなるのだろうというところから対談を思いついたそうです。しかも、音楽好きの戸塚さんは、対談のテーマを決めず、その場の流れや雰囲気から生まれるものを活かしたいと考え、縛りをほとんど設けずその場の即興を収録するという、いわばテキストのインプロヴィゼーションを試みたのです。普通こうした場合、ただの収拾のつかないだらけたものになりがちだと思うのですが、対談する人間の選考において、語る力のある者同士の意外な組み合わせを仕組んでいるので、内容にも自由な力が生み出されているのです。相変わらず、マイペースに制作されている次号は、『嶽本野ばら松田行正』『平井玄+鈴木泉』といった対談が収録されるらしく、現在進行しているそうです。次号の内容も、それにいつ出るのかも含めて楽しみです(笑)。 (文:悦)

book data:
title: nu vol.3 
publisher: nu
author: nu編集部
price: 1680(税込)