磯崎新の建築談議シリーズ 全12巻セット/磯崎新(著) 篠山紀信(写真)

 後藤繁雄さんの編集によるヌードの全集的な写真集の刊行やそれにともない美術手帖で特集されるなど、その仕事を再検証されている感ありの篠山紀信さんの写真の膨大な仕事の中で、僕が個人的に一番好きなのは建築がらみのものが多い気がします。『TOKYO NUDO』も建築を魅せる部分に実は一番反応しているし...。
そんななかでも、真正面から建築を写したものに、80年代の名作と言える『磯崎新+篠山紀信建築行脚』があります。これは、1977年から数年に渉る磯崎新さんと篠山紀信さんの二人での「建築行脚」の旅によってうまれたもので、建築書としても写真集としても素晴らしいものだと今でも思います。
世界の建築の名作をここまで、建築写真というスタンスではなく、写真そのもののスタンスで捉えていたのも素晴らしかったし、かつ磯崎さんの建築に関するテキスト類の監修も深い知的興味を充足させてくれるものでした。長らく絶版になっていたこともあり、残念に思っていたところ、10年ほど前に、その篠山紀信さんの素晴らしい写真を元に、磯崎新さんが五十嵐太郎さんをインタビュアーに迎えて新たに、それぞれの建築を語ったシリーズ『磯崎新の建築談議』が刊行されました。

単なるリメイクとは大きく異なり、建築史と現在の建築、更には磯崎新さん自身の建築史までもが含まれた読み応えのあるトークが収録されています。しかし、これも今では2/3/4/5/9/10/12巻が既に絶版になっているので、六耀社から特別に仕入れしたこのセット販売でしか入手不能になっています。 (文:悦)


book data:
title: 磯崎新の建築談議シリーズ 全12巻セット
 
publisher: 六耀社
author: 磯崎新(著) 篠山紀信(写真)
price: 47880(税込)