The Passion Blue 青の情熱(パッション・ブルー)


初めての恋をして裏切られ、泡となって消えた人魚の物語。

人魚姫といえば、その原作から数々の作家が絵本や映像作品を生み出してきた、アンデルセンの代表作です。


私も小さい頃に絵本で読んで「恋」の意味は分からないけれど、子供ながらに焼きもきする様なジェラシーとか、どうしようもない失望の様なものを感じた覚えがあります。


この『青の情熱』は、きのとりこさんがアンデルセン生誕200年祭の盛り上がりをきっかけに読み直した「人魚姫」の、子供向けとは思えない“痛さ”を描きたいと思った事から製作されました。


和英伊仏の4か国語による短いフレーズが添えられ、物語は誰もが知っている悲しい結末に向かって進んでゆきます。


無謀とも思える主人公の一途な恋心の動きが、精妙でかつ複雑な青色によって表現されています。



インクジェットによる出力にも関わらず、和紙(阿波紙)にプリントされた手触りはしっとりとした質感となっています。本の形態、紙質、色彩、物語がすべて美しい調和をもって作られた本です。


ぜひ、手にとってごらんになってください。(文:わらし)



book data:
title: The Passion Blue 青の情熱(パッション・ブルー)
publisher: 木野鳥乎
author: KINOTORIKO きのとりこ
price: 8400(税込)