ASPHALT 5号


以前にこのブログで紹介した写真雑誌のASPHALTの最新号である5号が出ました。

藤原敦さんと唐仁原信一郎さんのレギュラー写真家2名に毎号国内外のゲスト写真家を迎えて、それぞれ視座の異なる四人の写真を一冊にまとめてるというスタイルも定着してきた感じがします。深瀬昌久の「鴉」「洋子」、森山大道の「遠野物語」「仲治への旅」、荒木経惟の「平成元年」など昭和の写真史に残る多くの名作写真集を編集してきた長谷川明氏を2号から編集長に迎えてからは、第4弾となり、やれアートだ、やれドキュメンタリーだと言ったいろんな前置きを抜いた、ただひたすら写真を見せるというシンプルな感覚が見えてきた気がします。

今回の収録作品は、藤原敦『鹿児島』木格(ムゲ)『回家』唐仁原信一郎『SHIBUYA』徳本義明『「ぽたらか」の人々』。今号のゲストの木格(ムゲ)氏は中国の四川省成都在住の写真家だそうで、映画でも何度も描かれた長江に三峡ダムの建設による、人々の暮らしの大きな変化を捉えています。全然違う視座のはずの唐仁原信一郎氏の「SHIBUYA」と並べて見るのも一興です。長谷川さんの前書きで、『藤原敦氏の「鹿児島」は氏の個人的な思いと関係が深い。氏の祖父藤原藤門氏は鹿児島で長く教職を務めた。歌人でもあり、昭和11年北原白秋の短歌結社「多磨」に入会している。』とある鹿児島の風景の私的フィルターを通してみた写真があるがままにそこに置かれる事で、また違ってみえるのも面白い所です。徳本義明氏の写真は、解説によれば「ぽたらか」という仏教系の福祉集団による葬儀の様子。1枚のみの掲載ながらインパクトがあります。 (文:悦)





book data:
title: ASPHALT 5号 
publisher: アスファルト出版
author: 藤原敦、木格(ムゲ)、唐仁原信一郎、徳本義明
price: 1500(税込)