新倉孝雄写真集『DIZZY NOON』 サイン本

新倉孝雄さんの新しい写真集『DIZZY NOON』を手に取ってまず思ったのは『近くて遠い』と言う言い回しだった。

1965年5月9日、米軍基地の公開日という1日だけのアメリカ体験を楽しむ人々を捉えたスナップショットからなるこの写真集では人々が皆特別なところへのお出かけという風情が、1960年代の遠さと興味深さを感じる。

1965年というと、戦後から20年経ち、安保も終り、米軍が馴染んで来て、そしてベトナム戦争が始まり、米軍の評判が落ちてきたことへの危機意識もあって基地開放日で交流を図ったという感じだろうか?人々の身繕いが特別な場へのお出かけと言った感じが微笑ましくもあり隔世の感であり、すぐ近くの時代なのにとおくに感じた。

そして、厚木という土地も東京からすぐ近くなのに、鉄条網が絡む高いフェンスの向こう側の飛行場がえらく遠くに感じさせる。(文:悦)



book data:
title: 新倉孝雄写真集『DIZZY NOON』 サイン本
publisher: 蒼穹
author: 新倉孝雄
price: 3360(税込)