荒木経惟写真集『POLART』

これまで、数多くのポラロイド写真を残してきた荒木氏が、過去十数年に及ぶ作品群の中から約1000点もの作品を厳選して構成された『POLART』。

ポラロイドの生産が中止となり、おそらく最後のポラロイド写真集となるであろう一冊です。

沢山の窓を覗きこむように、この分厚い、盛り沢山の本をゆっくりゆっくり眺めながらまず思ったこと。

ポラロイドって生っぽい。その空間の重さや空気が伝わってくるようです。


裸体の女性をモチーフにしたものも、もちろん沢山ありますが私が面白いと思ったのはその他の「食べ物」や「風景」、「物」を写したもの。

なんて事のない風景、お皿の上から覗きこんだ湯気の匂いがしてくるような食べ物、濃厚な花の香り。
何気ない日常から、はっとする「発見」を捉えた写真たち。


アラーキーは写真とる事が、本当に好きで楽しいんだろうなぁ」と、単純に改めて思いました。


今までよく知らなかったので、ただの女好きのオジサンなのかなと思っていた私は、この写真集でアラーキーのイメージが少し変わりました。


ちょっと笑ってしまったのは愛猫のチロの写真。猫って、カメラの奥の、レンズを覗く人の眼をちゃんとみるんだなぁ。

度々登場する美しいダンサーの女性、KaoRiさんにも注目です。


アラーキーの世界観を余す事なく堪能できる見ごたえのある内容となっています。



ぜひ手にとってごらんになってください。 (文:わらし)




book data:
title: 荒木経惟写真集『POLART』
publisher: RAT HOLE
author: 荒木経惟
price: 13800(税込)