図録 葛西薫1968 サイン本

今や日本のデザインの最高レベルを代表するアートディレクターと言っても過言ではない葛西薫さんのあまりにも膨大な仕事の全貌が俯瞰できる待望の作品集。2007年10〜11月にガーディアン・ガーデンとクリエイションギャラリーG8での話題の展覧会、「葛西薫 1968」開催時に刊行予告が出て以来、待ちに待った作品集がついに発刊となった。

最近作から、デザイナーへの発芽とも思える高校時代のレタリングまで、総頁560ページのフルカラーというと凄まじい量のはずだが、ソフトカバー、ジャケット装に軽い紙質のよるこの本は、手に取った軽さから、入りやすく、さらに葛西さんの美しいデザインの数々がこれでもかと並ぶ姿は心地良さ以外のなにものでもない。

大抵、ひとつひとつが素晴らしくとも数が並ぶと見る方も息切れしてしまうのだが、葛西さんのデザインにはそれがない。本当に驚異の一冊です。

作品だけでなく、デザインへの思いを語り尽くした"インタビュー:graphics とadvertisingのあいだに"も、エリートコースの成功者とは異なるデザインに対する誠実な真摯さが浮かぶ言葉の数々に、作品誕生の奥に潜む葛西さんの感性の素晴らしさがを読み取れて、必読です。 (文:悦)



book data:
title: [KASAI Kaoru 1968] 図録 葛西薫1968 サイン本
publisher: ADP (Art Design Publishing)
author: 葛西薫
price: 4935(税込)