PETER SUTHERLAND『TOKYO NATURAL FANTASY』とROCKET BOOKS



ここのところブログでの本紹介が都市の話に偏っているなと思いつつパリ、ニューヨークときたらやはり東京だよなと思う。とはいっても東京にまつわる本なぞ嫌になるほど多い。そんなことを思って棚の整理をしていたとき、目の前に最近取扱が始まったROCKET BOOKSの本が並んでいた。


ROCKET BOOKSとはアートディレクター藤本やすしさんが主宰するデザイン集団CAP(『VOGUE NIPPON』や『BRUTUS』など雑誌のアートディレクションで誰もが知っている集団ですね)と、ファッションやカルチャーを中心に広告制作や雑誌&書籍の編集制作を手掛けるクリエイティブ集団RCKT/Rocket Company*が、2007年に立ち上げた出版レーベルだそうだ。そのROCKET BOOKSの最新刊がニューヨークを拠点に活動する映画監督/フォトグラファーのPeter Sutherland (ピーター・サザーランド)の新しい写真集『TOKYO NATURAL FANTASY』。


2009年冬の来日時に見て感じた<東京>を、自身の感性で編集したもので、この写真家らしい日常の一コマへの関心の強さが異邦人的視点と合わさって日本人の写真家が見せるのとは別の、それでいて親密度のあるまたひとつの東京への眼差しが見れます。


今回この写真集と同時にROCKET BOOKSの既刊も3冊入荷したのですが、僕の勝手な思い込みもありますが、なぜかどれも東京にまつわる本でした。『CAP すべてのCAPスタッフへ、そしてキャップをかぶるボクのこと。』はCAPを主宰する藤本やすしさんがCAPで働く全スタッフにあてて書いた自分史の体裁を取りつつ、グラフィックデザインに関わるすべての新人デザイナーへのメッセージとなったもので、1970年代の『太陽』編集部から始まり、肉屋の2階の小さな事務所での日々、雑誌丸ごとのデザイン提案、青山へのオフィス移転、ラフォーレ原宿のプレゼン参加、ギャラリーROCKETのオープン、NYでのファッション撮影と話は続き、それらは、いずれも東京での仕事のある時代の風景としてとても面白く見ることが出来ます。そして『TOKYO EDIT #1』は、そのものずばり東京の本ですね。全500ページの大ボリュームで東京の現在が感じられる新しいカタチのガイドブックというふれこみで、総勢150名のクリエイターたちによる紹介です。


もう一冊は『ROCKET(ALL ABOUT ROCKET 1996-2007)』で、1996年秋、表参道の同潤会青山アパートの一室でスタートしたgallery ROCKETが、移転の合間のクローズ期間(2005〜2007年)に発行していたフリーペーパーをまとめた一冊。


原宿という街のアートスペースという点と時代性とが東京の街が持つ凄まじいばかりの速度と一方でずっと変わらずに息づいているものとが垣間見えてくるのもある時代に深くリンクしたフリーペーパーというものの面白さでしょう。(文:悦)




book data:
title: PETER SUTHERLAND『TOKYO NATURAL FANTASY』
publisher: ROCKET BOOKS
author: ピーター・サザーランド(PETER SUTHERLAND)
price: 4095(税込)



title: CAP すべてのCAPスタッフへ、そしてキャップをかぶるボクのこと。
publisher: ROCKET BOOKS
author: 藤本やすし
price: 630(税込)



title: TOKYO EDIT #1
publisher: ROCKET BOOKS
author: ROCKET BOOKS
price: 2109(税込)



title: ROCKET(ALL ABOUT ROCKET 1996-2007)
publisher: ROCKET BOOKS
author: ROCKET BOOKS
price: 2835(税込)